Skip to content

稜線に、炭素の時間を。ドゥアン DUN-LC021

朝、鏡の前でフレームを手に取る。指先に伝わるのは、金属とも樹脂とも違う、乾いた軽さ。黒とグレーが規則正しく編み込まれた模様が、光の角度でわずかに表情を変える。
ドゥアンDUN-LC021。掛けた瞬間、横顔の輪郭がひとつ引き締まります。
表情を決めているのは、フロント上部を横切るブローバーです。目元の上に水平線が一本通ることで視線の位置が定まり、顔の印象に芯が生まれます。対して下部はリムを持たないナイロール。上は意志的に、下は軽やかに。この対比が、重々しさに傾かない精悍さを生んでいます。

カラーのGRS(Gray Shirring)は、フロントに細かな筋目を刻んだグレー。光を面で受け止めず、細く分けて返すため、メタルにありがちな強い照りが出ません。テンプルのカーボンが見せる立体的な表面模様は、ブローバーの稜線と連動しています。ハイグレードシリーズにふさわしい、端正な設計です。


「カーボン=軽くて丈夫」。
おおむねその理解で間違いありませんが、素材の正体をもう少し具体的に見ておきます。
眼鏡やクルマに用いられるカーボンは、正確にはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)と呼ばれる複合材料です。髪の毛よりも細い炭素繊維を樹脂で固めたもので、比重は鉄のおよそ4分の1、アルミニウムの3分の2ほど。それでいて強度は鉄の約10倍、アルミニウムの4〜8倍に達します(高強度カーボンはさらに上を行きます)。錆びず、薬品にも強い。そのため航空機の機体から自動車のボディ、ゴルフシャフト、人工関節、さらには橋の耐震補強にまで用いられてきました。なかでもドゥアンが採用するのは、樹脂の量を抑えて炭素繊維の密度を高めた「ドライカーボン」です。

模様にも理由があります。ドゥアンが選ぶのは綾織です。縦糸と横糸を一本飛ばしに編み込む織り方で、市松にも似た立体的な陰影は、この編み目から生まれます。つまりこの模様は、あとから描かれたものではありません。素材そのものの構造が、そのまま表情になっています。

素材が軽くても、掛け心地は別の話です。DUN-LC021が備えるのは、ゴムメタル製のBSヒンジ。ゴムメタルはしなやかに伸縮するチタン合金で、テンプルの動きが顔の形に穏やかに追従します。強く締め付けるのではなく、沿わせる。長い一日の終わりに差が出るのは、こうした部分です。耳にかかるモダンには芯金が入り、掛ける人に合わせた調整も可能です。カーボンだから融通が利かない、ということはありません。


もうひとつ、あまり語られない美点を挙げておきます。ドゥアンのカーボンモデルは、メタルパーツとカーボンの接合部に、あえて「先に外れる」設計を採っています。想定を超える力が加わったとき、接着部が離れることでカーボン本体の破損を防ぐ。万一の破損による怪我を避けるための、静かな安全設計です。強さを誇るだけでなく、壊れ方まで設計されている。鯖江でつくられる一本の奥行きは、こうした見えない部分に表れます。

朝から晩まで掛け続ける方にこそ薦めたい一本です。カーボンの軽さは、朝ではなく午後に実感するものです。週末、ハンドルを握る時間にも自然に馴染みます。もともとクルマのボディに用いられてきた素材です。馴染むのは道理でしょう。

カーボンフレームは初めてという方にも、一度手に取っていただきたい。指先で持ち上げた瞬間の、予想を裏切る軽さ。

空を飛ぶために、速く走るために生まれた素材が、いま眉の上に一本の稜線として置かれている。
DUN-LC021 GRS。静かに精悍な、大人の男性のための一本です。

ブランド:dun(ドゥアン)LUXURY COLLECTION
掲載品番:DUN-LC021
カラー:GRS(Gray Shirring)
サイズ:55□16-141
素材:コンポジットカーボン/チタン/ゴムメタル
参考小売価格:110,000円(税別)
日本製(鯖江)


SANKYOSHA Shop System
新規”ID発行
発注先企業変更
SANKYOSHA SHOPで「できる」こと
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31